連載12
マーケティングで活用する科学データ―ベルゲンで最後に訪ねた国立栄養研究所(NIFES)は、魚の栄養分や汚染状況などを調査する研究機関。漁業・沿岸問題省の下部組織であり、同省と別組織の食品安全局のベースデータ収集を行う。「実際にお客さんとの間で問題が起きた時に、調査結果を基に事実を話すことができる」とハンス・ぺター・ネスNSEC日本事務所代表。世界中で食の安全・安心に関心が高まる中、重要な情報源となっている。
ノルウェーの漁業水域は北極海域に近いといえども、北中米からメキシコ湾流が流れ込み、北海を挟んでは英国やデンマークなど、多くの国と海を共有する。同研究所は「魚に関する栄養学、安全で健康的なシーフードがテーマ」と主任研究員のコーレ・ユールサムヌ氏。調査船を出し、魚介類の汚染調査や分析、リスク分析などを行う。もともとは漁業・沿岸問題省の内部組織。「サイエンスはサイエンスで」(ハンス・ぺター・ネス代表)と、独立組織となった。
安全な魚介類を
マーケットへ
販売で活用する科学データ
説明するNIFES主任研究員のコーレ・ユールサムヌ氏
(2008/11/6(木)掲載)
■NIFES
データ収集は安全・安心ニーズが高まりつつあった1994年にスタートし、2004年までに基礎データをまとめ上げた。各魚介類の安全性データはNIFESホームページで一般公開。20種類の魚介類について、各50種類程度の汚染物質の含有量、基準値を明記する。
「マーケットはより質の良いデータを要求している」とユールサムヌ氏。さらにサンプル数や採取エリアを拡充し、調査を実施する。この調査は将来の調査にとっての基本部分に位置づけ。魚種別に優先順位をつけ、ニシン、サバ、オヒョウ、大西洋オヒョウ、タラ、セイス、北海ニシンなどが上位に位置する。
「ニシンとサバの予算は確保できている」と同氏。年間予算は1億2000ノルウェークローネ(1ノルウェークローネ=約15円)。海洋調査研究所の船舶を使い、販売組合や漁業・沿岸問題省、リサーチファンドなどの機関と連携して調査を行う。サバは09年内にベーシックリサーチの結果を公表する予定だ。 (東京支社・磯崎真)