連載16
 「われわれは政治に左右されない」―ノルウェー食品安全局は、政治など外部圧力を受けることなく、独立した強い権限を持つ。背景には伸びる水産物輸出と、アイスランドを含む欧州連合(EU)圏への貿易窓口としての役割がある。基準はEUやコーデックスに順じ、ノルウェー科学委員会など各地の機関と連携して管理する。「さらに発展し続けるもの」とハンス・ぺター・ネスNSEC日本事務所代表。首都オスロの同局本部を訪ね、最新の食品安全管理事情を探った。
 食品安全局は安全な食品の提供、倫理的保護、環境配慮、品質、フェアトレード、革新の推進、世界中のマーケットへの入り口としての役割を担う。関係機関を含め260人が勤務。「すべてのフードチェーンに責任を持っている」と、同局のゲイル・バールセット・シニアアドバイザー。漁業・沿岸問題省、農業・食品省、健康・ケアサービス省が関連省庁としてバックアップ。リスク審査部分をノルウェー科学委員会が行う。
食品安全局に強い権限
EU貿易窓口としての役割も
ゲイル・バールセット食品安全局シニアアドバイザー
(2008/11/12(水)掲載)
■食品安全局
 EU+コーデックス基準による水産物安全コントロールにより、約150カ国への輸出を可能にする。日本では2006年、08年とノルウェー水産物のセーフティセミナーを開催。「各国の基準に違いがあることからノルウェーの取り組みを説明した」とネス代表。今後も水産物分野を中心に、世界中で共有できる基準作りにも取り組む。
 食品安全局自身が世界の最前線で活動することで、水産物輸出戦略の大きな後ろ盾となる。食品にノーリスクはない。リスク管理を怠れば、即信用不安となり、水産物輸出産業が崩壊しかねない。生産管理から輸出振興、安全管理のバランスを取り、進化し続けることで、ノルウェー水産物輸出戦略が完成する。 (東京支社・磯崎真)
 水産関係では、具体的に(1)新たな制度の開発と施行(2)加工施設(700カ所)・加工船(57隻)・冷凍船(100隻)の承認(3)立ち入り検査やキャンペーン(4)魚・肉類の国境検査―が主な任務となる。
 国境検査は複雑で、自国内流通のみを考えるだけでは不十分。EU圏外から魚や肉類を輸入する場合、ノルウェーで検査をパスすれば、EUにも流れてしまうため、EU基準に沿う厳しい検査が求められる。いわば「EUの貿易の玄関口」。EUのフードセーフティメンバーに入り、情報交換や基準審議を行うとともに、コーデックス水産部会では主導的立場で活動する。