連載6
 「クオーターは長年付き合ってきた大親友。与えられたクオーターで満足している」と語るのは巻網船のトール・ハイネ・ディリーヴェス船長。ベルゲンの港でサバを水揚げ中の「NORDERVEG号」(1600トン)にスーツ姿でお邪魔した。正解だった。
 デッキ部分は濡れていたが船室に入ると、そこが漁船であることを忘れてしまう。フローリングの部屋にソファー、薄型テレビ、暖炉風のオブジェ。操縦席にはズラリと最新機器が並ぶ。スーツに革靴でも全く違和感がない。船員は船長、見習を含め10人。水揚げ作業する船員はみな明るい笑顔だった。
 NORDERVEG号はサバ1000トン、ブルーホワイティング6000トン、子持ちニシン6300トン、北海ニシン600トンが主な割当。この日は5日間の操業を終え、600トンのサバを水揚げしていた。操業は年間140日間。ノルウェー海からバレンツ海まで幅広い海域に繰り出す。魚種の中ではサバが最も高値で、6年ぶりに出漁するシシャモが2番目。「シシャモは2500トン前後の割当がもらえるだろう」と、電子地図で海域を示しながら、うれしそうに話してくれた。
クオーターは大親友
資源管理、漁師に定着
トール・ハイネ・ディリーヴェス船長
(2008/10/28(火)掲載)
■巻網漁船
NORDERVEG号の船内
 「水揚げの際に、大好きな魚を食べたくても獲ることもできない」とトール・ハイネ・ディリーヴェス船長。漁獲、水揚げにはフィッシュポンプを使い、鮮度保持には全力を注ぐ。船内のタンクはマイナス1・5度の海水で鮮度を保持。操縦席から、逐一タンク内の温度を監視できる。漁獲までは原油高の影響から省エネ走行するが、水揚げ港へは全速力。網の洗浄やタンク内の水温管理など事細かに行う。
 「そこにサバがたくさんいたからといって、海全体にサバがいるとは限らない。クオーター分を獲りきることに集中している」とトール・ハイネ・ディリーヴェス船長。漁獲割当制度に不満は全くないようだ。船長は漁業に従事して約30年。この巻網船で操業するほか、自家用の小型漁船を持ち、エビなどを漁獲する。一般的な暮らし方だそうだ。 (東京支社・磯崎真)