連載7
 「将来は船長になりたい」と笑顔で語るのは、見習い研修中のオーレさん(19)。巻網船「NORDERVEG号」で船員とともに漁に出かける。担い手不足に悩む日本とは正反対。漁師になりたくてもなれない若者も少なくない。
 ノルウェーの漁業は「1970年代から意識的に漁民を減らしてきた」(ハンス・ぺター・ネスNSEC日本事務所代表)歴史がある。40年代に12万人を超えた漁師の数は、2007年に1万3000人。70年代と比べても3分の1程度に減少した。「すごく難しいこと」(同)と、保障などでサポートしながら減船に着手。「供給を絞り、利益を出せる体質をつくり出した」(同)
 オーレさんはベルゲン近郊の漁師育成学校に在学中。研修に来て2年たち、あと1年船に乗って学校に戻るという。「ぜひ戻ってきてほしい」と既にNORDERVEG号の船長からはお墨付きが。国を代表する産業の石油関連には及ばないものの、ある程度ステータスのある職業のようだ。
 ノルウェーの漁業は国家全体輸出額の4・4%を占める。4年連続で増え続け、3年連続で過去最高を記録した。漁船隻数は約7000隻。常時2000隻が操業する。漁船の大きさは上限が2000トン。大型船は目一杯2000トン級を建造するか、1600トン級にするか分かれるそうだ。
漁師はあこがれの職業!
効率化優先し漁船・漁師削減
見習い研修中のオーレさん
(2008/10/29(水)掲載)
■担い手
 訪れた漁港、漁船、出会った漁師さん。日本とは別世界だった。9割以上が輸出に回り、資源管理、漁獲枠配分、ライセンスなど国家主導で厳しく管理するノルウェー。販売組織はヨーロッパ圏に顧客を持ち、オークションから決済までを行い漁師をサポートする。ただ、輸出主体のため、ダンピングの関係から直接補てんはほとんどない。漁師は決して楽な仕事ではないが、皆が誇りを持ち、自信に満ちあふれていた。
 資源管理ばかりがクローズアップされるノルウェーだが、漁業沿岸問題省でも漁業が経営的に成り立つことを最優先する。資源だけでなく、利益を出さなければ産業は成り立たない。資源管理、鮮度管理、販売戦略までを業界全体の方向性が一致しているからこそ成り立っている仕組みといえそうだ。
(東京支社・磯崎真)