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上関原発工事、中電が灯浮標設置 早朝に別輸送で
2009年10月8日(木)掲載
中国電力は7日、上関原発建設に反対する住民が約1カ月にわたって抗議活動を展開し、着手できなかった海面埋め立て工事のための灯浮標(ブイ)設置作業で、ブイ2基を早朝に別の場所から作業台船で運んで設置したと発表した。

原発計画で大きな節目となる海面埋め立て工事は着手された格好だが、当初のブイが置かれた平生町田名埠頭(ふとう)沖で阻止行動を続けていた反原発の上関町祝島島民らは「だまし討ちだ」と激怒、両者の溝はさらに深まりそうだ。

上関原発の敷地造成は約33万平方メートルで、うち海面埋め立ては約14万平方メートル。ブイは高さ5.6メートルで、作業海域を明示する。中電は当初、田名埠頭に置いた9基を9月10日からクレーン台船に積み込んで原発予定地沖に設置する計画だった。

しかし、反原発の祝島島民は「予定地沖の海面が埋め立てられると生活の糧の海が壊される」と9月10日以降、漁船10〜30隻で田名埠頭沖に駆けつけ、クレーン台船の埠頭接岸を阻止。祝島の支援者も県内外から駆けつけ、シーカヤック約10隻で阻止行動に加勢。中電が夜間作業の実施を示唆したため、反原発派は埠頭周辺に野宿して24時間で監視を続けてきた。

中電は「作業の安全上、阻止行動がある限り、作業はできない」として、両者のにらみ合いは6日までに27日間も続いた。当初、話し合いを呼びかけていた中電は作業中止を条件提示されたため「話し合いは無理」と判断。新たな打開策として田名埠頭のブイとは別のブイを設置する計画を9月下旬から検討していた。

中電は7日早朝、従来のクレーン台船を田名埠頭に向けて出動。祝島の漁船約20隻とシーカヤック約10隻が埠頭沖に駆けつけていたが、田名埠頭とは違う場所から新たなブイ2基をクレーン台船2隻で運び、午前7時すぎに取水口と放水口沖約300メートルと400メートルの2カ所に設置したという。

同日午前9時半ごろ、県柳井土木建築事務所に海面埋め立て工事の着手届けを提出した。

中電は新たなブイの積み出し場所について「反対派が押しかける恐れがあるので公表を控えたい」といい、今後予定されるブイ7基の設置について「安全に作業がてきるかを見て実施したい」と話した。

中電上関原発準備事務所の岩畔克典所長は「1日も早く建設してほしいと望んでいる人たちの期待に応えるためにも早く着手したかった。このまま愚直に作業の協力をお願いしていては不測の事態を招きかねない。作業が安全、確実にできることから着手に踏み切った」。反対派との溝がさらに深まる懸念に対し「(今回の着手方法は)好ましい方法ではなかったが、選択肢の一つとしてあった。溝が深まるかもしれないが、理解を求める努力を続ける」と語った。
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