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下松の山下工業所、マグネシウム製バイオリン完成
2009年10月27日(火)掲載
普通のバイオリンとほぼ同じ重量にまで軽くできたマグネシウム合金製のバイオリン=下松市
新幹線など鉄道車両の先頭部分の流線型をハンマーでたたいて形作る独自の技術を応用してアルミ製のチェロやバイオリンを製作してきた下松市東海岸通りの板金加工会社、山下工業所(山下竜登社長)が、今度はマグネシウム合金を使ったバイオリンを完成させた。素材を見直すことで大幅な軽量化に成功し、演奏者への負担を減らした。

今年5月に作ったアルミ製バイオリンの試作品は重量が約1キロと普通の木製バイオリンの2倍あり、「重たくて演奏が大変」という難点があった。実用的な金属としては最軽量とされるマグネシウムの合金極薄板(厚さ1ミリ)を採用したことで寸法は以前とまったく同じながらも、木製よりもやや重い程度の539グラムにまで改良できた。

同社によると、マグネシウムは常温での成形がほとんど不可能といい、社内での加工実績もなかったが、ベテランの技術者らがハンマー一本で滑らかな曲面を生み出す「打ち出し板金」技術を駆使して胴体の表板や裏板などを精密に形作った。最も難しかったのは、燃えやすいマグネシウムをいかに溶接するかだったが、試行錯誤しながら最適な方法を見つけ出して完成させた。

26日に同社でお披露目会があり、アルミ製バイオリンのときに続いて周南市久米のバイオリン奏者、三好真樹子さん(29)が演奏。三好さんは「軽くて響きもすごく良くなった。アルミは3分が限度だったが、これなら20分は弾けそう」。研究用に所有していたマグネシウム合金を今回のために提供した東洋鋼鈑の森田俊一生産本部長兼下松工場長は「マグネシウムは溶かして鋳型に入れるなどして成形するのが普通で、常温加工はできないというのが常識。こんなに精巧に加工できたとは非常に驚いた」と関心していた。

11月4〜6日に東京都の東京ビッグサイトで開催される「中小企業総合展」でアルミ製のチェロやバイオリンとともに展示。同社の技術の高さをPRする。
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