障害乗り越え画集初出版 下関の土屋さん
2012年5月16日(水)掲載
初出版となったイラスト集「色々なピエロたち」を手にする土屋茂康さん=下関市
運動機能全般に障害がある下関市中之町の土屋茂康さん(48)が、イラスト集「色々なピエロたち」を初出版した。愛らしいピエロを色鮮やかに描いており、土屋さんは「見た人が明るい気持ちになってくれれば」と話している。
昨年11月の日本文学館出版大賞アート部門で特別賞に選ばれた作品を中心に17点を掲載。食器と一緒に並んだピエロの人形、空中ブランコに挑む幼いピエロ、ジャグリングするロボットのピエロなどをカラフルに描いている。
未熟児で生まれ、治療を受けたが重度の障害が残った。現在も屋外ではつえを使って、自宅ではつたえ歩きで生活する。右肩が回らないため、絵を描く時は机にタオルを敷いてひじを固定し、ゆっくりと時間をかけて作品を仕上げる。
幼少期は外で遊べず、3歳から絵を始めた。1989年の下関市芸術祭で油絵が文化協会長賞を受賞。イラストは26歳で始め、雑誌投稿で次々と採用された。約100色のマーカーを駆使した明るい作風で、個展を市内で2回開いた。
母親が亡くなって6日で5年が経過。自分のペースで独り暮らしを続けている。週2回のヘルパー訪問はあるが、入浴から洗濯、料理まで自力でこなす。「すべてを投げ出したいときもあるが、絵画や料理など楽しみを見つけながら肩の力を抜いて生活している」
ただ、嫌いな言葉が一つだけある。あいさつ代わりに周囲が口にする「頑張って」のひと言。「日常生活を送るだけでも精いっぱいなので、これ以上は頑張れない。『無理しないで』などの言葉は歓迎なのだが」と苦笑いする。
出版は日本文学館から提案され、費用の一部負担はあったが「二度とない好機」と決意。「人間は行き詰まったとき、少し頑張るのをやめて楽しみを見つけると前向きになれる。このイラスト集がその手助けになれば」と願う。
イラスト集の冒頭には「ピエロたちにセリフを入れていません。自分の思いついた言葉を入れてみて下さい。淋しい時、辛い時、嬉しい時、ピエロたちはあなただけに話し掛けてくれます」とのメッセージを添えている。
B5判、税別860円。全国の書店やインターネットで注文できる。問い合わせは日本文学館(TEL03・4560・9700)へ。
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