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消費税増税1年、県内の動き 
2015年4月2日(木)掲載
原材料高騰に伴う4月1日からの価格変更を知らせる弁当店の張り紙=下関
消費税率が5%から8%に引き上げられてから1日で1年を迎えた。増税に伴う駆け込み需要の反動減は半年程度で回復したとする見方がある一方で、小売りなど個人消費の回復は依然弱含みの状況で推移している。増税から1年がたった山口県内の状況は?

自動車販売会社、山口マツダ(山口市)の新車営業部の吉川昭浩部長は、駆け込み需要の反動減について「昨年4〜9月の売り上げが落ち込んだ」と指摘。ただ新車を投入した10月以降は台数が伸び、前年並みに戻ったという。4月からのエコカー減税の見直しには「大きな影響はないと思うが、他社も新商品をそろえてくる。自社の魅力をPRしたい」と気を引き締める。

小売りはどうか。下関大丸(下関市)の担当者は「顧客の生活防衛意識の高まりは依然として根強い」と受け止める。ただ今年2月下旬〜3月上旬に開いた全国の特産品を集めた物産展は好調だったとし、「消費そのものが減退しているわけではない。適切な価格と価値を提供すれば需要はある」と話す。

不動産分譲事業などを手掛けるエストラスト(下関市)によると、契約数でみると増税後6カ月は増税の反動減が見られたが、以降は回復基調だ。住宅市場は全国的に一戸建てを中心に低迷するが、同社の一戸建て実績は今年2月期では前期に比べて増える見込みという。担当者は「増税の影響はあったが顧客の住み替えの潜在需要は必ずある。そうしたニーズをうまくとらえることが大事では」。

県内の14商工会議所を束ねる県商議所連合会は「県内の中小企業は増税に伴う価格転嫁はおおむね円滑にいった」とみる。昨年5、9の両月に日本商工会議所が全国約3200社の中小企業対象に行った調査ではそれぞれ約6割が価格転嫁できていると回答。同連合会は「(消費税率が5%になった)1997年に行った同じ調査と比べると価格を転嫁したという答えが約2割増えており、県内も同じ状況と思う。ただ原材料の仕入れ高騰などを価格に転嫁できていないケースがあり、今後もしっかり支援したい」と意気込む。

下関市内で弁当店を展開するブランチの中重秀之社長は客離れなどを懸念し増税時には商品の大半の価格を据え置いたが、昨年夏ごろから原材料の国産鶏肉の仕入れ価格が上昇。これまで水道代や電気代の節約などの企業努力で吸収してきたが、やむを得ず今月1日から店舗で扱う一部の商品を20〜30円値上げした。

中重社長は「弁当は消費者の節約傾向が強まっており、値上げが受け入れてもらえるかは不安。大手コンビニとの競争もあり、ぎりぎりの状態だ」と漏らす。

家計を預かる主婦も切実だ。周南市扇町の藤井紀代子さん(73)は「昨年から菓子やジュースなど1品減らしていつも節約するようにしている。消費税は上がらない方がいいが、ある程度仕方ない」と言う。

日銀下関支店(下関市)の鈴木純一支店長は1日の会見で「増税に伴う駆け込み需要の反動減は予想通り半年で一巡したと思うが、現在でも消費はなかなか戻っていない。増税の影響が当初考えていたよりも大きかったと総括している」とした上で「2年連続で賃上げやベースアップが実現してきている状況は、これまでになかった明るい材料。個人消費の環境は改善してくるだろう」と期待を込めた。
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