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古川さん最新刊、宮古島特攻慰霊碑に献本
2015年7月30日(木)掲載
神風特攻隊第三次龍虎隊の慰霊碑の前で祭文を読み上げる古川薫氏=29日、沖縄県宮古島市平良
沖縄県の宮古島市平良二重越にある神風特別攻撃隊第三次龍虎隊の慰霊碑前で29日、下関在住の直木賞作家、古川薫氏(90)の近著『君死に給ふことなかれ』(幻冬舎)の献本式があった。

同書は太平洋戦争末期の1945年7月末に宮古島を飛び立った、最後の特攻隊とされる第三次龍虎隊7人の若者の生きざま、散りざまを追った作品。

献本式には慰霊碑を見守ってきた宮古島市の関係者ら約30人が参列。初めて同慰霊碑前に立ったという下地敏彦市長は「70年前のきょう、この宮古島から最後の特攻の若者が出撃した。前途有望な若者が死地に向かう心情を思うと心が痛む。その悲しい生きざまが一つの本になり慰霊碑に献上された。感慨深い。一人でも多くの人に読んでもらい、戦争の悲惨さが風化しないように伝えてほしい」とあいさつした。

古川氏は「皆さんの尊い命の代償として、今や日本列島は平和な戦後70年の夏の盛りを迎えている。この絢爛(けんらん)たる繁栄、乱を知ることのない平穏な日々は、皆さんが倒れた魂魄(こんぱく)がもたらすもの」とし、平和維持には「今を生きている者の努力はもちろん、死者たるあなた方の雄魂の助けをお借りしなければならない」と、70年前に沖縄の海に散った7人の名をあげながら祭文を読み上げ、著書を供えた。

古川氏の妻で歌人、森重香代子さんが「挽歌(ばんか)」と題して碑前で「片道の機に乗り独り月明き空を昇りてゆきし少年」「還らざりし少年の碑にすを張りて蜘蛛(くも)ゐず宮古島の空の明るさ」の2首を朗読した。
 
献本式には、本紙に「木枯し帰るところなし」の連載で挿絵を担当したデザイナー三戸光顕氏ら約10人も下関から参列。うに甚本舗の上田玲子社長はハーモニカ演奏で「赤トンボ」を披露した。
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