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「西村屋」運営会社が破産 中也ゆかりの老舗−山口
2017年6月10日(土)掲載
山口地裁から破産開始決定を受けた老舗旅館「西村屋」=9日、山口市 
山口市湯田温泉の老舗旅館「西村屋」を運営する湯田温泉西村屋(西村正伸社長)が、山口地裁から破産手続き開始決定を受けた。民間の信用調査会社、帝国データバンクによると負債額は約3億2千万円。別会社が事業を引き継ぎ、旅館は存続する。決定は1日付で、破産管財人は松村和明弁護士。西村屋は同市出身の詩人、中原中也が結婚式を挙げたことで知られる。

同社は1906年創業。資本金1千万円。従業員数7人。利用者数の伸び悩みなどにより年間売上高が2億円前後にとどまり、収益性も低下していた。3月31日には旅館の建物と土地を同じ湯田温泉のホテル「かめ福」に売却。5月21日で営業を停止し、同31日に山口地裁に破産を申請していた。

湯田温泉旅館協同組合によると、旅館は「かめ福」の協力で9月1日のリニューアルオープンに向け改装中という。同組合の吉本康治事務局長は「残念だが、受け止めるしかない。旅館が湯田の資本で残ることは救いだ」と話した。

近くの中原中也記念館によると、西村屋は33年に中也が「葵の間」で結婚式を挙げ、市が主催する中原中也賞の選考会場にも使われている。来館した中也ファンから場所を尋ねられることも多いという。中原豊館長は「子どもを亡くすなど悲しみの多い中也の人生の中で、西村屋は明るい出来事のあった貴重な場所。葵の間や資料などの保存を続けてほしい」と願った。
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