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「川棚のクスの森」枯死の危機−下関
2017年9月7日(木)掲載
葉枯れや幹の空洞化などで樹勢が衰退している「川棚のクスの森」=6日、下関市
1本のクスノキが大きく枝を広げ森のように見える下関市豊浦町川棚の国指定天然記念物「川棚のクスの森」が、枯死の危機にひんしている。枝葉の多くが枯れ、幹の内部の空洞化が進むなど深刻な状態。市教育委員会は「考え得るあらゆる手段を使って樹勢回復に努める」と対策に躍起になっている。

7月中旬に「葉の一部が枯れている」と地域住民から市に連絡があった。山口県樹木医会が8月8日に樹勢を診断したところ、病害や虫害は認められなかったものの、木づちで幹をたたくと異常音が確認された。加齢に伴って樹幹や太い枝の内部が腐り、空洞化が進んだとみられる。

県樹木医会は、9分岐した太い枝のうち7本が葉枯れなどを起こしているため「原状回復は極めて困難」と診断。市教委は残りの2本を保存育成するため、地面に穴を開けて根が集中している土壌へ酸素を供給するなどの対応策を施した。当面は水やりと経過観察をしながら、回復が見られれば肥料や土壌改良剤を施用する。

市教委は6日の市議会文教厚生委員会で、木の現状や今後の対策を報告。2012年度に実施した「川棚のクスの森保護整備事業」で土質改良のために土を運び込んだ結果、根が集中する土壌に十分な酸素が供給されなくなって細根が腐り、土壌水分の吸収が困難になったことも主な要因に挙げた。

観光ガイドとして「クスの森」を見守ってきた川棚温泉観光ボランティアガイドの小田紘幸代表(72)は「以前は観光客に木のいわれや樹齢などを紹介していたが、今は木が枯れた理由などを説明することが多くなり、木を心配して見に来る人もいる。何としてでも元通りにしてほしい」と話した。

「クスの森」は樹齢約1千年と推定され、樹高25メートル、枝の幅は東西約58メートル、南北約53メートルに及ぶ。ご神木として古くから地域住民に親しまれており、1922年に国の天然記念物に指定された。近年はパワースポットとしても注目を集め、昨年度は全国から約7万人が訪れた。
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