五番手の傘留太夫は、下関市一の宮住吉の事務員、大平みゆき(花柳佳也美)さん(57)。「最も厳格で、格調の高さが求められるのが傘留太夫。皆さんに喜んでもらえるよう、しっかり務めたい」
日本舞踊は「昔から好きだった」が、働いて自分で稼ぎ始めてから習おうということで二十五歳のころ入門。二十八歳で官女を務め、三十二歳のころにも傘留太夫を経験している。
太夫役が決まったのは「名誉なこと」と歓迎しながら「果たして自分にこの大役が務まるのか」との不安もあり、一度は断ろうとした。ただ「これが最後。何とか期待に応えたい」と思いとどまった。
二度目の傘留太夫に「一回目より落ち着いてやれると思う」。しかし、あれから二十年以上が経過。「体がついてこない。痛いほどの期待を感じるが、師匠の指示通りに動けないことも多い」と悔しがる。
ベテランだけに指導の声も自然と大きく厳しくなる花柳佳寿広師匠は「傘留太夫は重みのあるところを見せなければ。努力家だからしっかりやってくれるはず」と信じている。
「最高の演技を見せたい」―。視線の先にそんな思いを込めながら、けいこで何度も「外八文字」を繰り返す大平さん。「わたしにとって踊りはすべて。踊りがなければ人生つまらないから」と笑顔で語った。
\外八文字] 太夫が高さ香\授、もある三枚歯の下駄を履いて行う。片足をゆっくり引いた後、下駄をやや寝かせて大きな円を描くように外回りで前方に出す動作を左右で繰り返す。上臈(じょうろう)道中の途中四カ所で披露する。 |