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仕事場で。作品は「白萩蝋抜四方花入」
(高さ36センチ、幅16センチ、奥行き14センチ)
  父善蔵さん(1942年生まれ、山口県指定無形文化財保持者)に師事して13年になる。来年は40歳。萩の土と萩の釉薬(うわぐすり)で、少しずついろいろな方向を試したい。作品のシリーズを増やしてみたい。
 ろくろものが多かったが、手びねりやたたら板(粘土板)で成形し始めた。たたら作りは割れやすいが、丸、三角、四角…形が無限にできる。ろくろ作りは重力を受け、下が厚くて上が薄い。たたら作りは重力に耐え、構造によっては形が自由にできる。
 萩焼は多く、成形したものに釉薬で化粧する。「鉄釉」と「蝋(ろう)抜き」で化粧している。
 鉄釉(透明釉にベンガラを混ぜた釉薬)による作品は、こげ茶色の釉(くすり)肌で素朴な質感が特徴。レモン色に近くなると黄瀬戸、流れて流動的になると伊羅保風にもなる。作品で試し普段使いの商品に取り入れている。
 蝋抜きによる作品は、わらの白い釉と、ろうで処理した土の緋(火)色のコントラストが美しい。洋と和どちらの空間にも映える。
 江戸時代からある技法で、素焼後に、液体にしたろうで勢いよく字を書いたり絵を描く。ろうは乾くと、釉をはじく。本焼すると、低温で揮発し、素地土に炎が当たり緋色・オレンジ色に発色する。
 働き出して4、5年、自分の作品を作るようになったころは、彫刻的なもの、奇抜で面白いものを作った。30歳半ばからこの4、5年、用はすごく大事だと思う。展覧会で客に接する機会が増え、ものを作る責任、工芸つまり使う道具を意識する。
 「オブジェ寄りの作家ではないかもしれない」。作家として「個性は出さなくてはいけないけれども、使いやすさを考える。ブレーキをかけている」。
 子供と早く寝て、早朝に起きる。週に1回は2時間ほど自転車に乗る。風景が違って見える。季節感を肌で感じ、においまでする。リフレッシュする。
 仕事にも欠かせない。「作品から距離を置くのに、いいアイテム」。大きなものを成形していると、入り込みすぎて全体が見えなくなる。生命感、勢いがなくなる。自転車で1時間ほど離れて頭と目をリセットする。戻ったときに、手を入れようとか、やめどきだとか、第一印象で見える。
 できるだけシンプルに。ちょっと足りないぐらいに作りたい。
 気に入ったものが焼けたときには、湯飲み、食器でも満足がある。「小さな器だからといって手を抜いているわけではない」
(文と写真・宇和島正美)
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