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窯展示場で。作品は「椿文鉢」
(径46センチ、高さ11センチ)
 「萩やぶ椿文鉢」がきょうまで開催の萩市美術展で最高の市長賞を受賞した。
 素朴な土味を特徴とする萩焼に、赤(紅)を基調とする大胆な色使いで全面に抽象・具象のデザインをして、賛否両方の評価を受けてきた。受賞作品は追究している掻き落とし技法による一連のモチーフだが、余白を多くして色彩のバランス、口の辺りがちょっとゆがんでいるのも奥行き動きが出ている、と評価された。
 「続けてきてよかった。掻き落としの技法をもっともっと突き詰めていきたい。赤の色をもっと生かせるような作品作り、萩焼の可能性を広げていけるような作品作りをしていきたい」
 萩焼にタブーといわれる色(絵)を付けたのは、萩焼とほかの焼き物とを比べて、「同じライトが当たって置いてあるのに、暗い感じがした。(表現する)世界が狭いという感じがした」。茶陶を中心に評価されてきた萩焼への若い感性による違和感だろう。
 父、建信さん(1947年生まれ)が陶芸家。萩を一度出てみたかった。大学ほかで7年間陶芸を学んで帰郷。焼き物を仕事にした。
 成形した本体に化粧土を塗り、模様を残して周りを削り取る掻き落とし技法にこだわる。火を通して完成する釉薬(うわぐすり)での着色は窯任せのところがある。素焼する前に着色する掻き落としなら、自分の意のままに配色できる。
 作品により7色もの化粧土を使う。写真の作品の場合、成形▽白い化粧土を全体に筆で塗る▽ツバキのめしべの黄色い化粧土を筆で塗る▽花びらの赤色の化粧土を塗る▽葉の緑色の化粧土を塗る▽紫や黄色などほかに4色。必要に応じて最後に白い化粧土は削り取る。その後、素焼▽透明釉の吹き付け▽本焼−の工程。
 「磁器の色絵とは違って、奥行きを出したい。陶器の方が温かみがある。萩の土の持ち味を生かせるような温かみのある作品を作りたい」。作品作りで最も大切にしている点だ。
 作れば売れる時代ではない。作品を作り続けるには困難な時代だが、「作り続けたい」。
 3、4年前からツバキをデザインしている。ツバキの花の赤い色を出したい。萩の町、萩焼の土の温かみにツバキは合うし、自分の出そうとしている色がマッチする、と思う。
 好き嫌いがはっきりしている性格とか。ものを作り、若いのだから当然だろう。精進を期待したい。
(文と写真・宇和島正美)
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