山口新聞 ふるさと創生へ 県民とともに

工房で。オブジェ作品は「ミチル」(幅44センチ、奥行き30センチ、高さ31センチ)。器は手前が「光の方へ」(径10センチ、高さ20センチ)、左の4点は「万華鏡」シリーズ
 ブルーとホワイトの対比と調和でつくる作品世界は、清新の気に満ちている。女性が作るのでしかも繊細。
 青は生命の源である海。生命が引き継がれていく中に自分はいる。この壮大なものの、一部分でも表現したい。生命の揺り籠として海を表現しようとブルーを使っている。
 白は青のみずみずしさを引き立たせるための白。白で枯れている状況を感じさせることで、ブルーを強調したい。あふれ出すみずみずしさを出したい。
 素材は土と釉薬(うわぐすり)。土は深層心理に最も適している素材ではないかと思う。手を通して気持ちが伝わっていく。嘘のつけない素材。釉薬はものすごい可能性を秘めたもの。調合ひとつで変わる。作品を高みに押し上げてくれるもの。
 当然だが、この二つを使って作る。「張り付け技法」で作品にする。
 「形と装飾」ということをずっと考えている。その融合を考えたとき、自然の中にあったのがミノムシとフジツボ。まず核になるものを成形し、そこにパーツを張り付けて生息させ一つの形を作る。
 核とパーツはフジツボのように共生している。命の塊。形と紋様とはと考えていて、こうした形が生まれた。ミノムシはいろんなものを体に付けて、本来の形と違うアウトラインを出しているところが面白い。
 「全体と部分がクロスしていくことで、自分なりの表現ができるのではないか。自分の表現にしたい」
 小さなものが集ることによって生まれるエネルギーに強くひかれた。青とは別な体験で、命の塊みたいなものを感じたことがある。このエネルギーと、ブルー、命を抱く存在としての海を合わせて表現していくのが「自分の仕事感」と思っている。
 京都での学生時代はもっぱらオブジェ(観賞陶)。卒業後は用途のある器を少し真剣にやった。2003年の春、帰郷してからはオブジェと器を作る。
 二つには自ずと違いがある。思考のプロセスが違う。器はあまりでこぼこでは使いにくい。張り付け方も違う。完成度を求められる。オブジェは自由度が高い。ストレートな表現、土の表現の幅を目いっぱい使える。
 自分の表現の今後について「やっている延長上に次の仕事はある。外部からの衝撃で生まれてくる作品もあるはず。変化していくのが自然の流れ」とここでも思考は明快で男性的。ただ「女性であることを踏まえて、結果的にそうであれば」と仕事の個性を考える。
(文と写真・宇和島正美)
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