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作品は「ANIMA」の一つ(幅45センチ、高さ32センチ、奥行き20センチ)
「ANIMA」と名づけたオブジェを、ここ5年ほど作っている。
 辞書によると、「アニマ」は〈魂、生命〉の意。本人は「アニマルの語源」と説明した。名詞・アニマルは〈人間以外の、とくに哺乳類の動物、獣〉などの意。心理学では、外界への適応のために個人が装う社会的仮面(ペルソナ)に対応する真の内的自我。
 作品を作るとき、「設計図のない場合と、おぼろげな設計図がある場合がある」。まず、ろくろで大小さまざまな形のパーツを作る。次に、パーツを組み合わせる。
 パーツをひっつけて一つの塊にする▽くっつけただけなので非常に矛盾があり、ぬるっと見えたり不調和のところがある▽そこから次の発想が始まる▽そして、一つの作品になっていく−。パーツを組み合わせるのは無理▽くっつけて、不調和・調和した部分が材料になっていく▽最終的には表面、形、マテリアル、素材感−とも。
 独特な作業のようだが、「オーソドックスなこと」。抹茶茶わんの場合、「形とか、おぼろげな設計図があって、ろくろをひいて(高台を)削っていく、釉薬(うわぐすり)して焼く作業と同じ」。
 作品を化粧する色は、化粧土に顔料を練りこんで作る。見る者の思い入れを拒絶するようにあっけらかんとして明るい。ケース・バイ・ケースで使う。
 「鮮度、動き出しそうというものがないと面白くない。見ているだけで楽しくなる、心弾むものを作りたい」
 焼き物とのかかわりは30歳、十二代三輪休雪さんのアルバイトスタッフとなってから。
 そこで、土でできた塊を見たのが最初の焼き物の体験。肖像彫刻作家の助手を務めた経験を生かし、休雪さんの大作がパーツで焼成された後、ひずみや割れを修正し展示できる状態にする作業を受け持った。
 8年間いたが、むろん伝統的な焼き物を教わったことはない。焼き物屋なんかになれるはずがないと思っていた。ただ、ものづくりの中では焼き物が一番食えそうだった。なにより表現したかった。ろくろはいろんな人に教わった。98年、窯を持つ。
 作品のディテールの精度を高めたい。より緻密にきれいに作りたい。普段使いの器を作る中でも、オブジェを作るときに大切にしているものと重なるものがある。「重ならないとおかしい」
 作品を見ていると、なんだか楽しい。人によっては恐ろしいかも。制作で作者の〈内的自我〉と〈社会的仮面〉が解き放たれている、からか。
(文と写真・宇和島正美)
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