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展示室で。柱に掛けた皿などが墨流し技法による
 陶芸産地・萩焼の作家は、団塊の世代と周辺の50代後半から、次に続く人たちまでかなり間がある。40代半ばから40歳前後の、その後の一群の一人。
 長年使うとしみができる「雨漏(あまもり)」に特徴的だが、茶陶・萩焼の特色とされてきたものには、寄りかからずに作陶する。「汚れるし、もろいし」と萩焼の特長とされてきたものを、短所と捉える。
 「自分が興味があって作ったものが萩焼」。生まれ育った町で暮らしたいと焼き物を仕事にし、地元の大道土を使って作りたいものを作り、評価を受けている自負だろう。
 「萩という概念的なものを抑え気味にして作っている」。ろくろ目は消して▽貫入の出ない▽色の変化がない、「現代人が楽しめるものを作りたい」。
 成形したものに化粧掛けする「墨流し(スリップウェア)」の技法に、工夫を加えて作陶する。「やり方自体にオリジナリティーがあれば、僕のやる必然性が出てくる。人がやっていれば、僕じゃなくても、いいじゃないかと思う」
 普段使いの器を作る。
 成形し▽高台を削り▽半乾きの状態で化粧掛けし(染色用の化粧土の液をスポイトで垂らし)▽液が乾くまでの間に液を重ね▽器に振動を与えて色を流す。
 「器をたたくと、色の奥行き、濃淡が出る」。色は10色ほどだが、黒なら濃度により5、6種ある。「絵付けではない。流している。液体が流れた痕跡は立体的で、土の造形と思っている」「焼き物でやるべき表現」とも。
 選べる、替えることができるが作品のコンセプト。「萩の窯変を否定はしない」。萩焼の特徴を伝統に同じ方法ではなく、取り入れたり消したり、応用して表現する。
 ポットとふた。ポットは一つでも、ふたの模様は数十種用意している。「変化できる。使う人が選んで、自分の使い方で使うことができるのがクラフト」
 2008年春から秋まで、県立萩美術館・浦上記念館の和室展示室に出品した「種々」を見る機会があった。
 キノコのような植物(最長50センチほど)を畳の上に、1500本生じさせ(ピンで立たせ)、数回に分けて6千本まで増やした。異空間にびっくり、なんとも不思議な気分になった。
 「陶器が雑草として生えている。土から生えているものを土で作っている。畳みも草。畳の下には土がある」と制作の意図。
 器とインスタレーション作品は「同じだと思っている」。通底するのは「空間を飾るもの」と言う。
(文と写真・宇和島正美)
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