山口新聞 ふるさと創生へ 県民とともに

工房で。作品は「Pirouette」
(高さ33センチ、幅25センチ、奥行き10センチ )
 「左右対称じゃないものを作りたかった」のが、国民文化祭・やまぐち2006で萩市教育長賞の「Pirouette」。
 花瓶をデフォルメして作った。ピルエットはバレー用語で、回転する、体は止まっているけれどもドレスは動いている状態のこと。
 瞬間の曲線を見せる。白い釉薬(うわぐすり)が静ひつの中に、一瞬の動を感じさせる。
 同年の「カキクケコ」は、ピルエットを作っていて、角々とした直線のものが作りたくなった。
 ともに用途は一応ある。「オブジェと見えるけれども、ピルエットもカキクケコも花器の仕掛けになっている」
 24歳の夏に萩の窯元に弟子入りした。高校を卒業して事務員を4年間。旅に出て戻ると、バイトを1年間。その後バイト、旅行、バイトという生活を始め、陶芸教室に通った。
 「心にいつも飢餓感があった。仕事で満たされないものの反動で、旅行をしていた」。焼き物が自分の中で次第に大きくなる。後悔するよりも、と決心した。
 ものを作ると一番下手。工作、家庭科も嫌いだった。「あんたみたいな不器用な子が」と母に言われた。が、決めたらやるタイプで、止まらない。
 1年もたたないうちに、「向いていないんじゃないか」と言われるようになった。腰を痛めたりして結局、2年に満たない修業時代だった。習ったのは湯飲み作り。
 27歳で萩焼の職人と結婚。家事、子育てをした。30代半ばで再開。基本的なことにはアドバイスを受けたが、独学でやった。ただ、一生懸命ではなかった。40代半ば、初心に返って湯飲みから作った。
 作品を意識して2000年から作ったコンポートが、十二代三輪休雪氏の目に留まる。03年東京であった萩陶芸家協会新鋭展(7人選抜)に出品するよう励まされた。「やっと自信を持つことができた」
 湯飲みなどの商品は大きさ、形が決まっていて数を作る必要がある。「飽きちゃう」が、使い方が使う人の工夫次第のコンポートを作るのは、作る方も自由で楽しかった。
 不器用なのに修業時代が短かったから、技術的に未熟なところがある。未熟な分、技術面で縛られないから発想が豊かになり、「自由なものができるのではないか」。
 「萩焼とか、意識しては作っていない。形が一番興味がある。形を生かすための釉(くすり)」。年に一つは作品を作りたい。アイデアはいっぱいある。
(文と写真・宇和島正美)
戻る
山口新聞ホームへ

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます。すべての著作権は山口新聞社に属します。
 Copyright(C)2008 Minato-Yamaguchi Co.,Ltd.
お問い合わせは電子メールyedit@minato-yamaguchi.co.jp