| 「大工はどこへ」 |
| 久良 大作(岩国市、大工) |
町から大工の姿が見えなくなって久しい。同じ町内に住む地元の大工に家の普請を依頼するというのは既に過去の話。夕食時に「そろそろ家でも買おうか」と夫婦の間で話題に上れば、週末に住宅展示場に出向き、数ある住宅メーカーの中から「どこにしようか」というのが一般的な流れだろう。彼らの頭の中には町場の大工たちの顔は最初からない。統計によると、80年に100万人近くいた大工は現在その数を半分にまで減らしている。子供がなりたい職業として根強い人気がある大工だが、若い大工が減って高齢化が進んでいる木造住宅業界の現状を見ると、子供の頃の夢とは裏腹に実際に大工になる数はきわめて少ない。
今、住宅建設の現場は安全確保のために四方が完全にシートで覆われていることが一般的で、以前のように通りがかりの人が中で行われている作業の様子を伺い知ることはできない。シートの向こうから聞こえてくるのは、パンパンという釘打ちテッポウの音と電動マルノコ、そしてダダダダという電動ドライバーの音。いくら耳を澄ましてもノミや釘をトントンと打つリズミカルな音、ギコギコ手ノコで木を切る音もカンナで木を削るシューッという音も聞こえてはこない。いくら探しても実際の大工の姿はなかなか見えてこないのが現状だ。 |
| プロフィール:くろうだいさく。大学卒業後、化学会社に就職。4年後に退職し東京で大工修行。岩国市で独立し10年。古い家の再生が得意。岩国市通津、43歳。 |
|
| 「タイでトイレを作る」 |
| 安藤 公門(宇部市、シャンティ山口理事) |
「トイレの神様」(植村花菜:作詞作曲)という歌が静かにブレークしている。昨日も、たまたま通りかかった宇部市新天町商店街で流されていた。トイレには女神様が住んでいて、掃除をきちんと行うと願いごとを叶えてくれるという祖母のことばがテーマの歌だ。
この歌に便乗するわけではないが、しばらく便所と糞尿の話にお付き合い願いたい。とはいっても、この分野は範囲も広く奥も深い。先学も数多い。そこでタイ北部パヤオ県の農山村地帯でのNPO法人シャンティ山口のトイレ作りの実践報告に話を絞りたい。
シャンティ山口は10件のトイレ設備を作ってきた。最初は自己資金で個人の住宅、シャンティ学生寮、それに養豚排水のガス化実験など。昨年度までの3年間は、地球環境基金と今井記念海外協力基金の助成を得て村の広場の公衆便所、保育園、学校宿舎、図書館のトイレ設備を設置した。
タイ北部パヤオ県。ラオス国境にほど近い、山岳少数民族モン族の居住する五つの村での事業である。なぜ、トイレ設置事業に取り組むようになったのか、どんな仕組みなのか、どんな人たちがそれを進めてきたのか、今後どのように発展していくのか、そんなことをボチボチとトイレの神様に導かれながら綴っていきたい。 |
| プロフィール:あんどうきみと。NPO法人シャンティ山口理事、(有)あったか村役員、村のトイレ屋としてタイ北部でトイレ作りに励む。宇部市在住。62歳。 |